東京オリンピックがとうとう始まりましたね!
3大会ぶりに開催される野球競技は7月28日に初戦を迎え、侍ジャパンはその28日にドミニカ戦を控えています。
侍ジャパンの監督は稲葉篤紀氏なのですが、監督経験のない稲葉氏がなぜ侍ジャパンの監督を任されているのでしょうか?
ここでは野球のオリンピックにおける日本代表チームの歴史を振り返りながら、稲葉監督誕生の真実に迫りたいと思います。
オリンピック野球日本代表歴代監督の成績
まずは、過去のオリンピックにおける野球日本代表チームの歴代監督と成績をみていきましょう!

オリンピック野球日本代表歴代監督と成績の詳細
大会 | 日本代表監督 | 所属 | 勝敗 | 結果 |
1984 ロサンゼルス | 松永怜一 | 住友金属 | 4勝1敗 | 金メダル |
1988 ソウル | 鈴木義信 | 東芝 | 4勝1敗 | 銀メダル |
1992 バルセロナ | 山中正竹 | 住友金属 | 6勝3敗 | 銅メダル |
1996 アトランタ | 川島勝司 | ヤマハ | 5勝4敗 | 銀メダル |
2000 シドニー | 太田垣耕造 | 東芝 | 4勝5敗 | 4位 |
2004 アテネ | 中畑清 | 代表ヘッドコーチ からの昇格 | 7勝2敗 | 銅メダル |
2008 北京 | 星野仙一 | 2007年から 代表監督 | 4勝5敗 | 4位 |
2020 東京 | 稲葉篤紀 | 2017年から 代表監督 | ? | ? |
1984年のロサンゼルスオリンピックから1996年のアトランタオリンピックまでは、アマチュアチームの監督、選手の人選で代表チームが構成されました。
2000年のシドニーオリンピックでは、史上初めてプロ・アマ混合チームを結成して挑みましたが、結果は4位と、まさかのメダルなしに終わります。

悲願の金メダルを獲得するべく、2004年のアテネオリンピックに向けて行われた2003年から行われたアジア野球選手権大会は、オリンピック野球代表チーム史上初のオールプロで挑むことが決まり、その代表チームの監督は長嶋茂雄氏が就任しました。
長嶋ジャパンはアジア野球選手権を3勝0敗で優勝を決め、アテネオリンピック出場権を獲得。
ところが、アテネオリンピックを間近に控えた2004年3月4日に長嶋監督は脳梗塞のため緊急入院となってしまいました。
病状の回復がみられないため長嶋監督が監督として復帰できないことが決まり、ヘッドコーチを努めていた中畑清氏の監督昇格が決定。
中畑ジャパンはオリンピック日本代表史上初めて、キューバを破るなど検討したものの、結果は銅メダルに終わります。

2008年の北京オリンピックにおいてもオールプロで挑み金メダル獲得が期待されましたが、代表チームは全く調子が上がらず、4勝5敗で4位というまさかのメダル無しの結果に終わりました。
日本国内では星野監督に対する大バッシングが巻き起こり、星野氏は失意のどん底に落ちてしまいました。
期待値が高いからこそオールプロの代表監督のプレッシャーは大きく、代表選手も思うように力を発揮できないという、オリンピック特有の難しさを露呈する結果となりました。
2006年に初開催となったWBCで王監督率いる侍ジャパンが世界一の座に輝いただけに、北京オリンピックでの星野ジャパンに対する期待が一段と高いものになっていたことも、プレッシャーに拍車をかけていたと言えるでしょう。

東京オリンピックの侍ジャパン監督になぜ稲葉篤紀が就任したのか?

2020東京オリンピック野球日本代表の監督を務めるのは監督経験のない稲葉篤紀氏です。
なぜ稲葉氏に監督のオファーがあったのか、気になる人も多いでしょう。
代表監督を選出する侍ジャパン強化委員会という組織があり、その本部長を務めるのは全日本野球協会副会長の山中正竹氏です。
山中正竹氏は2016年1月19日、アマチュア野球の発展に尽くした功績が認められ、野球殿堂表彰者に選出された日本野球界の重鎮です。
稲葉氏は、山中正竹氏が法政大学の監督時代(1994年・4年時)の教え子にあたります。

2017年に行われたWBCにおいて監督を努めた小久保氏のもとで打撃コーチを務めていたのが稲葉氏です。
小久保監督の後任を決める過程において、監督経験があったほうがいいのではないかなど、様々な意見が出ていたようですが、やはり稲葉氏の恩師である山中正竹氏の、かつての愛弟子に対する思いが強くあったようです。
稲葉氏の学生時代をよく知っているだけに、プロ野球選手としての活躍、引退後の小久保ジャパンでのコーチとしての姿を見て、その豊富な経験と成長ぶりに代表チーム監督としての期待を持ったというのはある意味自然な流れだったのでしょう。
また、山中正竹氏は1992年のバルセロナオリンピックの野球日本代表監督でしたが、そのチームの選手として、小久保氏が活躍していました。
小久保氏は2017年第4回WBCの監督を務めましたが、それまでに監督経験はありません。
監督経験がないにもかかわらず侍ジャパンを大会ベスト・フォーに導いた手腕を、山中氏は高く評価していました。

そのながれもあり、侍ジャパンの監督の人選において監督経験のない人も選考対象になるということが既定路線になったようです。
山中氏が策定した、代表監督に求める条件としては以下の4つのポイントが挙げられていました。
- 求心力
- 短期決戦対応力
- 国際対応力
- オリンピック対応力
最終的には、この条件を満たす存在として、侍ジャパン強化委員会の総意として、稲葉氏が適任と判断されたようです。
東京オリンピック侍ジャパン監督 稲葉氏の優勝経験は?そして、侍ジャパンは優勝できるのか?
東京オリンピックで悲願の金メダルを狙う侍ジャパン。稲葉監督は現役時代、ヤクルト、日本ハムの主力選手として大活躍していましたが、優勝経験はあったのでしょうか?また、引退後のコーチ、監督としてはどうだったのか、そのへんを見ていきましょう。
稲葉監督現役時代の優勝経験一覧
年度 | 所属 | リーグ優勝 | 日本一 |
1995 | ヤクルト | ◎ | ◎ |
1997 | ヤクルト | ◎ | ◎ |
2001 | ヤクルト | ◎ | ◎ |
2006 | 日本ハム | ◎ | ◎ |
2007 | 日本ハム | ◎ | ☓ |
2009 | 日本ハム | ◎ | ☓ |
2012 | 日本ハム | ◎ | ☓ |
ご覧の通りたくさんの優勝経験をしています。
セ・リーグ、パ・リーグ両方でリーグ優勝、日本一を経験しているのがおわかりいただけるかと思います。
ヤクルト時代は野村克也監督、若松監督のもとで優勝を経験。

日本ハムではヒルマン監督、梨田昌孝監督、栗山英樹監督、合わせて5人の監督のもとで優勝経験をしており、それぞれの監督の考え方や戦術的な手法を学んでいるので、東京オリンピックでの監督としての采配にも期待がかかりますね。

2009年には、第2回WBCが行われ、稲葉氏は選手として出場し、原辰徳監督率いる侍ジャパン優勝の立役者となっています。
絶不調のイチロー選手に励ましの言葉をかけるなど、チーム最年長としてリーダー的な存在でもあったようです。

現役引退後の稲葉篤紀
2014年9月2日に現役引退を表明すると、約2週間後の9月18日には「2014 SUZUKI 日米野球」の日本代表打撃コーチを務めることが発表されます。
以降、2017年に行われた第4回WBCまで日本代表チームの打撃コーチを務めています。
そして、2017年7月31日に日本代表監督に就任することが発表されます。
2017 アジアプロ野球チャンピオンシップが稲葉監督の初陣となっています。
同大会で日本代表チームは3連勝で優勝。
稲葉監督は監督としての初陣を見事な優勝で飾ったのです。

2019年11月に行われた第2回WBSCプレミア12でも稲葉氏が監督を努め、侍ジャパンを優勝に導いています。
稲葉監督率いる侍ジャパン 東京オリンピックでの優勝の可能性
東京オリンピック野球競技には6チームが参加します。
その中で最も戦力値が高いとされるのが侍ジャパンです。
現役メジャーリーガーが不参加の今大会、メジャーリーグについで実力があると言われる日本プロ野球の選手が、東京オリンピック野球競技における主役になると予想されます。
侍ジャパンは全選手がNPB所属であることから、優勝候補の筆頭と考えて間違いないでしょう。
地元日本での開催であることも追い風になることは間違いありません。
稲葉監督の監督としての実績、手腕の高さはもはや実証済みです。
オリンピックは国民の期待を背負うという独特のプレッシャーがつきものであり、過去のオリンピックで日本代表チーム、歴代の監督は苦い経験をたくさん味わってきました。
実際のところはやってみないとわからない部分もありますが、東京オリンピック野球において侍ジャパンが金メダルを獲得する可能性は極めて高いと思われます。
東京オリンピック侍ジャパン監督 稲葉とオリンピック歴代監督 まとめ

新型コロナの影響で2020年に開催予定だった東京オリンピックは2021年7月21日、約一年間の延期で開幕しました。
監督経験のない稲葉監督としては、この一年間の延期は好都合だったのではないでしょうか?
代表チームの監督としての経験をよりたくさん積んだことによって、その手腕に更に磨きがかかっていることが期待されますね。
日本のオリンピック野球競技の歴史は苦難の歴史であり、歴代の名将が苦い経験しています。
コロナ禍のなかでのオリンピック開催に対して、中止を求める国民も多く存在しており、今までにない特殊な状況でもあります。
東京五輪の中止を求めて、学者や作家、ジャーナリストら14人が呼びかけ人となって始めたオンライン署名への賛同が約14万筆に達した。
朝日新聞DIGITALより引用 https://www.asahi.com/articles/ASP7M5WJ6P7MULEI008.html
史上初の無観客開催であることや、根強くオリンピック中止を訴える国民の存在。
異様な空気の中で、稲葉監督率いる侍ジャパンがどのような戦いを見せてくれるのか、注目のオープニングゲーム(7月28日)が刻一刻と迫ってきています。
恩師である山中正竹氏の期待を背負い、歴代の名将たちの目標だった、悲願のオリンピック金メダル獲得は実現するのでしょうか?
稲葉監督に大きな期待がかかります!


最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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