2019年4月5日。
宇宙を解明する大きな手がかりを
得ることが期待されるはやぶさ2。
そのはやぶさ2が世界初となる
小惑星リュウグウにクレーターを
作る衝突実験に成功したと発表されました。
この衝突実験はどんな目的で
行われたのでしょうか?
この実験でわかる宇宙の不思議について
お話して行きましょう。
はやぶさ2が小惑星リュウグウにクレーターを作る目的は?
クレーターを作る目的は一言で言うと
衝突実験後にリュウグウ内部から新たに
出てきた物質を回収して小惑星そのものに
存在する未知の物質を解明することです。
それではもう少し具体的に順序立てて
お話していきましょう。
まず、重さ2Kgの銅の玉を小惑星にぶつけます。
するとその衝撃でクレータができ
地中の物質がリュウグウ表面に現れます。
クレーターの上の平らなくぼみに
はやぶさ2が着陸すると
リュウグウの地中から出現したての物質を
採取できるというわけです。
その出現したての物質は
太陽や宇宙線の影響を受けていないと
考えられます。
既に2019年2月、リュウグウに着陸した
はやぶさ2はリュウグウ表面にあった
物質を採取しています。
リュウグウから出現したての
いわゆる「生物質」。
同時にもともと表面に存在していた物質の両方を分析。
すると、更なる宇宙の解明に繋がるのではないかという期待が高まっています。
この「生物質」のサンプリングが
特に活気的な実験と言えるわけです。
クレーターを作る実験はどうやって行われたの?
宇宙で実験するだなんて
想像しただけでも困難なイメージがあります。
その工夫とメカニズムについて
お話しましょう。
クレーター作成実験の方法
円すい形のステンレスケースの底に銅板がはめ込まれ
5Kg程度の爆薬が詰められます。
その爆弾をやぶさ2から分離。
はやぶさ2が爆発の影響を受けない
リュウグウの影に逃げます。
逃げなければ爆発そのものの影響を受けますし
リュウグウから跳ね上がった岩石の破片にも
ぶつかってしまう可能性があります。
分離して40分後爆発。
リュウグウに銅の球がぶつかると
その衝撃で表面の物質が拡散します。
するとクレータが作成されます。
この様子ははやぶさ2が逃げる前に分離しておいた
小型カメラ「DCAM3」によって撮影されました。
この実験は正確な高度で正確な方向へ
爆弾を分離しなければリュウグウへ爆弾を衝突
させることが出来ません。
また40分と限られた時間内にはやぶさ2は
爆発の影響を受けないリュウグウの影へ
避難しなくてはなりません。
こんなハードルを超えた綿密に
計算された上での実験が成功したことは
大きな快挙といえるでしょう。
クレーター作成実験に使われる爆薬や銅板は収集サンプルに影響しないの?
クレーター作成実験に使われる爆薬や銅板は
収集するサンプルには影響しません。
普通に考えるとリュウグウの表面に銅が
ぶつかるため表面を汚染してしまうので
はないかとう心配をしてしまいます。
なぜ影響しないのかをお話していきましょう。
というのもリュウグウのような
小惑星には銅は存在していないと
考えられているからです。
存在していない銅を使うことで
小惑星リュウグウ固有の物質と
区分することが出来るのです。
爆薬に関してはリュウグウ表面を
汚染してしまう可能性があります。
しかし衝突装置の爆発は
リュウグウの数百メートル上空です。
よって、かなり上空での爆発であるため
リュウグウ表面への汚染する量は少ないと
考えられているわけです。
小惑星リュウグウからはやぶさ2が採取できる物質はどのくらい?
はやぶさ2はリュウグウの物質を
採取しています。
その採取量は0.1g。
たった0.1gかと思うところですが
この0.1gで想定している分析は出来るのです。
サンプルのとり方は次のとおりです。
小惑星の表面に触った時
筒状の足(サンプラーホーン)が
筒の内側から弾丸を発射して表面を砕きます。
その破片が筒の内側に上昇してケースに
入るという仕組みです。
リュウグウの重力について
知りたい方はこちらを御覧ください。
小惑星リュウグウからはやぶさ2が採取する物質に期待しましょう
生物質が採取できるであろう
はやぶさ2のクレーターを作る衝突実験。
クレーターに無事着陸してサンプルを収集したり、
無事に帰還するなどまだまだ高いハードルはたくさんあります。
無事にサンプルが地球に届き
分析されることを期待して待ちましょう。
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